旅館などリゾート型宿泊施設を内的要因と外的要因に分けて分析
目次:
サービスを含めた「宿」を分析する時、外的要因と内的要因を分けて、分析するといろんなものが見えてきます。
外的要因:
外にある状況→自分ではコントロールできない
内的要因:
自分たちの状況→自分でコントロールできる
外的要因は、自社の努力が及ばない要素です。 わかりやすくするために、宿泊業(宿泊施設)での外的要因を例示してみます。
天候・災害 トレンド:旅行スタイルの変化 交通アクセス 地域イベント 景勝地の整備や世界遺産登録など 観光振興政策・規制景気内的要因とは、自社の努力によって改善・強化が可能な要素を指します。プロダクトやサービスの品質、オペレーション、人材、設備などがこれに該当します。
宿泊施設で言うと、施設働く人の質 サービス料理など。宿の中にある要素なので、ずばり「宿そのものの魅力、価値」と言えるのではないかと思います。
都市型ホテルなどは、ざっくりいうと、賃貸マンションの延長です。 賃貸マンションのように建築(空間)と立地いう「機能」が価値を生みます。都市にある民泊も「都市型」に分類すべきでしょう。
空間の機能は主に客室面積設備で構成され、 立地は利便性を生むということですね。
リゾート型か都市型の比較をしていきます。
こうして外的/内的要因を手がかりに比較してみると「リゾート型宿泊施設」と「都市型(ビジネス)ホテル」を比較すると、全く違うビジネスと言えます。
つまり、成り立ちの差があるので、魅力の想像(ブランディング)や販売の考え方(マーケティング)にも全く違う視点が必要です。 もちろんOTAや公式サイトでの販売のカタチ、ノウハウもかなり異なります。なのにコンサルがその違いを理解せず、都市型ホテルとリゾート型(旅館など)を同じように販売すればいいと考えがちです。
比較項目 | リゾート型
(リゾートホテル・旅館) |
都市型
(ビジネスホテル etc.) |
---|---|---|
例えると | 別荘(休暇) | マンション(日常の延長) |
滞在の性質 | 滞在自体が目的(癒し・非日常) | 滞在は手段(仕事・移動) |
価値 | サービス・空間演出・体験(食事・温泉など) | 建物の機能(間取り・設備)と立地(駅近など) |
空間の役割 | 演出・感動を与える舞台 | 最低限の快適性を確保する居住空間 |
立地の意味 | 自然や観光資源との一体感(眺望・温泉地など) | アクセスの良さ(駅前・オフィス街など) |
建物の性質 | 一点物・特注設計が多い(旅館建築など) | 規格化されている(マンションに近い構造) |
サービス | 接客・おもてなし・体験設計が重要 | 無人運営やセルフチェックインも普及 |
目的との関係 | 滞在そのものが旅行の主目的 | 宿泊は出張・移動のための付属的な手段 |
ビジネスモデル | 体験価値・ブランド・差別化で収益を得る | 回転率・効率性・立地競争で収益を得る |
リゾート型の宿泊施設の分析をするうえで、まず一番に内的/外的要因の分析を説明するかというと、リゾート型(温泉旅館やリゾートホテル)の本質を忘れかけているオーナーや経営者が多いと思ったからです。
数年で人気宿に変わっていた一部始終を見ることがありました。元々は宿泊施設の「素人」が日帰り温泉を温泉旅館に仕立て上げ、営業開始した旅館。当時のことはよくわかりませんが、すぐに経営は傾いていきました。
その旅館が苦しんでいる状況から立ち直っていく様子は、「宿の本質」を私に示してくれたと思っています。なぜ、周りに有名観光地もない、ブランドもない旅館が人気宿になっていったのかをずっと私なりに考えた時、役立ったのが内的/外的要因の分析です。(くわしくは下のアコーディオンボタンをクリック)
私が宿泊施設の販売に関わってしばらくして、有名観光地から遠い、一軒宿の旅館に出会いました。正確には、パートナーがそのOTA販売を担当していました。
オーナーチェンジしてから数年の間にいつのまにか口コミが上がっていき、人気宿に生まれ変わっていったのを見て不思議に思っていました。その旅館は数度オーナーが変わった曰く付きの旅館であり、変わったオーナーも旅館業は素人、しかし色々な偶然が重なり人気宿になってしまいました。外部から見て、オーナーは試行錯誤していたようですが、実はその試行錯誤よりも、働いている人たちの意識こそが変革をもたらしたと考えています。(もちろんオーナーの考えも影響していると思います)
その旅館は数度オーナーが変わった曰く付きの旅館であり、建物は特別なデザインや設計でもなく、むしろ建て増しによって(建築設計を学んできた私から言わせると)旅館らしい佇まいはあるとは言えません。
高級旅館というものは、有名な観光地や有名なブランドの宿泊施設でなければ成立しないと考えていました。しかし、まったくの場所や建物の歴史など全くブランド要素が無い旅館が、「売れない旅館」から「人気の高級旅館」になっていきました。どうやって人気の高級旅館になっていったのかを、そのうちブログで書きたいと思っています。
すでに述べたように、リゾート型と都市型の宿泊施設を比較すると以下のように定義できます。
リゾート型:滞在時間の体験が価値
都市型:機能性と利便性が価値
しかし「有名観光地の旅館やホテル」を観察していると、それらは「都市型」と同様に、 外部要因(特に、場所の持つ力)に依存しているということが見えてきました。 それはつまり、ブランドある宿や、有名温泉地の宿が経営破たんする理由に繋がります。
有名な温泉地や観光地に立地する観光地の旅館、ホテルは、一見するとエリアの集客力が強く、経営的にも有利なように見えます。しかし、そのような旅館やホテルは、その「場所のブランド力」に頼って集客しているケースが多いわけです。これはつまり、外的要因依存の経営ということになり、「リスクが自分でコントロールできない施設」という見方もできます。
インバウンドによって好況に湧いている観光地周辺の宿泊施設は、旅のトレンドが変われば、周辺エリア全体がレッドオーシャン(厳しい競争エリア)になるリスクも高いということです。実際に一部の観光地はインバウンド需要が落ちている傾向が見えるようです。
実際、観光地のネームバリューに安心し、宿の魅力という本質の向上を怠るケースも少なくありません。経営者自身が外的要因への依存を十分に認識していないため、結果として内的要因(つまり自分たちの魅力)を磨かずに、知らず知らずのうちに競争力を失っていくという構図があります。
私たちは、上記のような外的な要因に左右されがちな有名観光地の旅館やホテルより、宿の魅力を上げていく宿泊施設のサポートをしていきたいと考えています。
私たちの目指す、宿泊施設は、内的要因の強い施設です。つまり、立地などの外的な魅力に頼らず、自社の内的要因(サービス、料理、空間体験、スタッフの質など)を高めて維持していくことができる施設と言えます。たとえば、コロナ禍のように外的要因が大きく揺らいだ局面でも、そうした施設は安定的に売上を維持した事例も経験しました。
結論としては、強い宿泊施設とは、「外的要因に左右されない」施設であり、どんな状況にも対応できるということになると思っています。
旅館やホテル、グランピング、ゲストハウスなどの宿泊施設は、有名な観光地に立地していなくても十分成立する時代になっています。それだけ日本には「コンテンツ」が眠っていると言えるでしょう。
インターネットの普及や人々の価値観の多様化により、「隠れ家的な立地」や「知る人ぞ知る場所」にある宿が人気を集めるようになってきています。また、少し陰りが見えるようなジャンル(例えばグランピング)などはブルーオーシャン(競争が緩い)からレッドオーシャン(競争激化)に切り替わっているようなジャンルですが、だからこそ宿の本質が際立つと考えています。
これは、外的要因(立地や観光資源)に依存する施設ではなく、滞在そのものの価値(=内的要因)を重視するユーザー層が増えてきたことを示しています。
そして、そういう傾向こそ「観光地でもないのに人気宿になった不思議な旅館」が生まれた原因なのではないかと考えています
こうした傾向は、SNSやレビューサイトなどによって“発見される”時代の特性とも合致しており、「自分だけの特別な体験」を求める旅行者のニーズに合致してますね。
つまり、現代では“場所の知名度”よりも、“滞在の質”が選ばれる時代に入っていると言って良いと思います。
ゲストを宿に来てもらうには、まず宿の魅力を上げること。そして、それを分かってもらうように「魅せる」ことです。この両面でMTXはお手伝いします。
人材不足「OTA販売担当者がいない」ノウハウ不足「OTAで売れない」
売上が低迷「売上が落ちた」
コンサルに不満「遅い」「提案がない」「広告やクーポンで手数料が過大」
公式サイトをリニューアル検討中「売れる公式サイトに変えたい」
Web更新業者に不満「作業が遅い」
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