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宿泊プランは旅館やリゾート型宿泊施設にとって商品です。またOTAでの販売戦略上、とても大切なもの。
ここではマーケティングの視点で「どのように考え、作るか」を考えていきます。

プラン構成(=商品構成)はシンプルに

まず、私たちが宿を見る時、まず、販売してるプランの数を見ます。
(販売担当者でもたぶん気にされてない方が多いと思います)

宿泊プランを見てもらう時間は短い

インターネット検索や宿泊予約サイト(OTA)によって、多くの旅館ホテルから選ぶことができるようになりました。その反面、ユーザーが一つの施設をチェックする時間は限られています。

分かりやすく、迷わせないように

「自分たちのホテルの商品構成や内容を見てくれるはず」と思い込みがちです。短い時間でユーザーに最適なプランが見つかるように工夫する必要があります。

つまり宿泊予約の販売においては商品構成はシンプルなほうが有利ということです。(しかもプランの内容がわかりやすい状態であること)

行動経済学「選択肢が多すぎる罠」

行動経済学では「選択肢が多すぎると人間は決断が難しくなる」とされています。まさに、宿泊施設を選ぶ際にも、この理論が参考になります。商品構成が多すぎることは、判断が難しくなり「離脱」する人が増えて、機会損失となってしまいます。

行動経済学とは、人が物を買ったり選んだりするとき、いつも正しく計算して決めるわけではなく、ときには気持ちや思い込みで動いてしまうことを研究する学問です。つまり「人の経済行動は時に非合理である」という前提で、心理学の考え方を取り入れながら、人がどう決めるのかを明らかにしようとしています。

行動経済学では、選択肢が多すぎると人は迷いやすくなり、むしろ決められなくなることを「選択のパラドックス」と呼びます。自由度が増えるのは良いことに見えますが、実際には比較や後悔の可能性が増え、満足度が下がったり、決断を先延ばしにしたりする傾向があるのです。

宿泊プランは旅館・ホテルにとっての商品

プラン作成は、旅館/ホテルの販促(マーケティング)において、もっとも基本かつ重要な業務の一つです。 OTAに並ぶプラン構成は宿泊施設にとって。ここではOTAのマーケティングの基本「プランを作る」際の考え方を紹介します。

宿泊プランは入口 そしてプランタイトルは看板

「入口」はわかりやすく、ユーザーに迷わせない

宿泊プランは宿泊における様々な要素(客室利用/宿泊等)がパッケージ化されたものです。さらに宿泊予約サイトに並ぶプラン構成は「商品のディスプレイ」といえます。なので、プランタイトルはそれぞれのユーザーに刺さる、シンプルに伝わるものに。

プランのタイトルで最適なプランに誘導する

ホテルや旅館は、複数のターゲット(ゲスト)に合わせて複数のプランを用意し「陳列」します。プランはユーザーごとの最適な「入口」となってユーザーを誘導し「販売」につなげます。

ユーザーが欲しいものをパッケージに

ターゲットに合わせた適切なプランを並べることで、売れやすくなります。その宿のターゲットユーザーが非常に絞り込まれている場合などはプラン一つでも充分ですが、ほとんどの場合、複数のターゲットにアピールするために厳選した複数のプランを並べることになります。

属性別/目的別プランで、即座に判断できるように

「ファミリープラン」としておけば、ファミリーのゲストが「なるほど、これが私たちにとって一番オトクなのか」と判断が早くなります。(たとえば似たような特典のプランが複数あったとしても、迷わなくなります。)

ターゲットごとのプランは有利。でもシンプルな構成で

このような判断を早くすることで、予約が確実に増加します。しかし、プランが増え過ぎれば属性ごとにプランをたくさん作れば、広いターゲット層を集客できるかといえば、そうではありません。

プラン構成を考えるのは、販売担当者やコンサルの腕の見せどころであり、宿の売上を大きく左右する大きな要因の一つです。

離脱を防ぎ、できるだけ長く、見てもらう

離脱を防ぐことで売上は上がっていく

さまざまな「離脱」する理由がを説明してきました。「離脱」するポイントに気づき、消していくことが必要です。

わかりやすさは重要。パッとみてわかるように

商品の内容やサービスの内容が不明ならば、自分の目的にふさわしいのか判断できません。さらにユーザーが一つの宿を見る時間が限られています。(一つのエリアで選んだとしても数軒は候補があるでしょう)。不明なことが多ければ多いほど、ユーザーの選択から外れやすくなります。これが「離脱がしやすい」ということです。

「わかりにくくて、売れない」を改善

プラン(商品)を分かりやすくして、ユーザーを迷わせない

あなたが、ショッピングモールで良さそうなお店に入ったとします。店で商品を手にとってみたけど、商品の内容が分かりにくい場合(たとえば規格とか性能とか保証内容が書いてない。もしくは分かりにくい)は、その店を何も買わずに立ち去るはずです。

離脱は「分からない」でも起こる

実は、じゃらんや楽天トラベルなどの宿泊予約サイトでも同じことが毎日起きていて、多くの宿泊施設は客様を逃しています。専門用語では「離脱」と言います。「離脱率が上がる」というような表現をよく使います。

離脱を避けることがまず重要であり、ポイントがいくつかあることが理解いただけたでしょうか。MTXがまず考えることは「機会損失を減らすこと」。この離脱する人をどれだけ減らすかが勝負です。

戦略やコンセプトが反映されたプランに

プランをどのように作り、どのプランを「棚」に並べるか

客室や料理、その他付加価値を組み合わせ、多種多様なプランを作り出せますが、それは施設のコンセプトや戦略にあったものであることが重要です。

コンセプトを大事に

コンセプトとはかけ離れた、ただの安売りや、宿のブランドの毀損し、ユーザーからの信頼を得られません。ユーザーが写真を見て気に入ったのに、販売しているプラン(価格や内容)にガッカリして離脱する(逃げていく)こともあります。

宿のコンセプトや内容がわかりやすいプラン

(リゾート型宿泊施設の場合)プランは「宿での体験」を商品としてまとめたものです。内容はもちろん、宿のコンセプトを分かりやすくし、迷わず「予約できる」状態になっていることが重要です。

ターゲティング:どのような人にアピールするか

どんな良いものでも、プランがユーザーの求めるものとかけ離れていれば、予約に至ることはありません。大切な時間を過ごすのですから、ユーザーが宿やプランを選ぶとき、価格だけでなく、その旅の目的やコンセプト合っているかを考えます。

分析からターゲット戦略を

3C分析、SWOT分析、4P分析などから、その宿泊施設に最適なターゲット(属性)を選び、そのターゲットに、最適な商品(プラン)を用意し、コンセプトや戦略を反映させてターゲットを見定めて、プラン構成が決まります。

個々のプランをわかりやすく

プランそれぞれのコンセプトがわかりやすく、どんなユーザーをターゲットにしているのか明確に。

品揃えだけでなく、陳列方法や場所を考える

スーパーの陳列方法にスタンダードがあるように、宿泊プランも基本型に。さらに口コミや、現場での反応、売上構成などを参考にして、日々更新してベストの形に持っていきます。シーズンや状況に合わせてアップデートも忘れずに。